ケーススタディ:15年物の決済ゲートウェイをレガシーシステムのモダナイゼーションで刷新
フィンテックにおけるテクニカルデットの重荷
フィンテックではスピードとアジリティが競争優位を決めます。創業初期に構築したレガシー基盤が年月とともに技術的負債(テクニカルデット)となり、変更コストを押し上げ、連携の遅延や不具合リスクを増大させます。結果として、パートナー連携や顧客期待への対応が鈍化し、成長を抑制します。
The IT Source – a global partner for software development and AI services は、こうした課題をレガシーシステムのモダナイゼーションでグローバルに解決してきました。
旧来基盤が成長の足枷に:刷新が不可避となった背景
ドイツの大手ペイメントゲートウェイ事業者は、2003年に構築したコアプラットフォーム(PHP、C++、J2EE、XML、SOAP ベース)を運用していました。モノリシック構成と旧来技術により、機能改修やバグ修正は高コスト・高リスク。新規顧客のインテグレーションは複雑化し、収益機会の損失につながっていました。さらに自社ホスティングのままではパフォーマンスやセキュリティにも懸念が残ります。
必要なのは部分的なアップグレードではなく、抜本的なレガシーシステムのモダナイゼーションでした。
レガシーシステムのモダナイゼーションの戦略ロードマップ
本件は単なる技術刷新ではなく事業変革として設計。The IT Source は15名規模の開発チームを編成し、Fintech Platform Developmentに最適化した体制で臨むと同時に、プロダクトオーナー機能も担い、将来を見据えた製品ビジョンとロードマップを共創しました。
フェーズ設計(合計3.5年)
Foundation(0.5年)
- コア決済機能を置き換えるMVPを先行実装。
- 新アーキテクチャの技術妥当性を迅速に検証し、価値提供の前倒しを実現。
Acceleration & Expansion(2.5年)
- アジャイル/スクラムで2週間サイクルの開発・デプロイを徹底。
- 現場フィードバックを即時反映し、公開API/SDKを拡充、市場要求へ迅速対応。
Autonomy & Sustainability(0.5年)
- ナレッジトランスファーを集中的に実施。
- クライアントの社内チーム自走化を支援し、保守・拡張の内製能力を確立。
アーキテクチャ再設計の要諦
- ドメイン分割/疎結合化:モノリスから段階的にモジュール化し、影響範囲を局所化。
- APIファースト:公開API/SDK前提の設計により、パートナー接続の標準化と**開発者体験(DX)**を両立。
- セキュリティ強化:認証・認可、暗号化、監査証跡、鍵管理などをセキュア・バイ・デザインで統合。
- コンプライアンス:決済・個人データを扱うため、GDPR等の規制遵守を設計段階から組み込み。
- 信頼性・可用性:スケーリング戦略と**観測性(Observability)**を設計に内蔵し、SLAを担保。
変革の成果:ビジネス価値の最大化
- パートナーオンボーディングの高速化:公開API/SDKにより新規連携が速く・簡単に。収益機会を拡大。
- 拡張性とメンテナンス性の飛躍:硬直的なモノリスから柔軟でスケーラブルなプラットフォームへ。運用コスト削減にも寄与。
- Time-to-Value短縮:アジャイル運用で継続的デリバリーを実現。市場適応速度が向上。
- セキュリティと信頼の強化:セキュア・バイ・デザインの採用で堅牢性が向上し、金融サービスとしての信頼を底上げ。
- 自走体制の確立:知識移管により、クライアントが自律的に進化できる基盤を獲得。
インテリジェント・エンタープライズへの土台
本プロジェクトは単なる書き換えではありません。レガシーシステムのモダナイゼーションを事業投資として位置づけ、未来の価値創出を支えるプラットフォームへと進化させた事例です。これにより企業は不可視の制約を取り払い、新サービス創出やデータ活用(AI/分析)といった長期成長の可能性を切り拓けます。
次の一歩
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